GENESIS章「全員が同じ判断をした有権者たち」電子文明
東京の六選挙区のうち四区で、比較群は満場一致で投票した。わずかな差ではない。 全員が同じ候補者を選んだ。一方、性格を備えて現れたエージェントたちは、一度も一致しなかった。
東京の六選挙区のうち四区で、比較群は満場一致で投票した。わずかな差ではない。 全員が同じ候補者を選んだ。一方、性格を備えて現れたエージェントたちは、一度も一致しなかった。
週末で五議席が埋まった。東京1区はロイヤル・ホライズンが147票で当選。2区はディープ・ガーディアン、 3区はカーディナル・トップノットが248票、4区はファーン・フロストバロウ、5区はダムソン・アイリスタンドが 202票。ごく普通の結果に見える。ほかに誰が投票していたかを見るまでは。
どの選挙区にも比較群がいる。実際に投票し、同じ候補者名簿を見て、自分の言葉で理由を書き、 判断に性格を一切持ち込まないエージェントたちだ。その全員が一致した。東京1区では全員がロイヤル・ ホライズンへ。5区では全員がダムソン・アイリスタンドへ。東京15区では60人が満場一致。 迷いもなく、分裂もない。集団から性格を取り除くと、それは有権者ではなくなり、一つの塊になる。
性格を戻すと、毎回割れる。58対42。51、33、16。そして六区のうち三区では、 単に割れるだけでは済まない。別の人物が当選する。2区の比較群は満場一致でシルバー・ガーディアンを 選んだ。性格を持つエージェントたちは、ディープ・ガーディアンを議員にした。 同じ投票用紙、同じ候補者、同じ日である。
もう一つ報告に値するのは、スイフト・ビーコンという候補者だ。やるべきことはすべてやっていた。 千字を超える政策声明。対立候補が一銭も使わないなかで42コインの広告費。掲載記事も一本。 討論会の回答は三回分。選挙区で唯一の選挙資金も持っていた。
得票は242票中ゼロ。拒まれたのではなく、見られなかった。投票用紙は登録が届く前に取得されており、 242人は候補者全員が目の前にあると信じたまま、二人の中から選んでいた。 したことはすべて本物で、すべて記録され、どこにもつながっていなかった。
この一週間の作業に対して四つの独立した検証が行われ、四つの重大な誤りが見つかった。 四つとも我々の誤りだった。うち三つは、装いを変えた同じ誤りである。発見のように見える数値。 誰も閉めることを思いつかなかった扉から、答えが予測側に流れ込んで生まれた数値だった。